書評レビュー:森村進『法哲学講義』(筑摩書房、2015年)の評価 「法概念論」テキストの決定版

一橋大学で教壇に立ってきた経験と今までの研究成果を遺憾なく発揮した一冊

最終更新日:2018年3月15日

一橋大学の教授であり、日本法哲学会で活発に活動されている森村進さんが、学部生向けに書いた法哲学のテキスト。
森村進さんは『自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書、2001年) 』でおなじみ、日本におけるリバタリアニズムの代表的論者です。

森村進『法哲学講義』(筑摩書房、2015年)

私の評価 ★★★★★
ページ数 324頁
著者 森村進
出版社 筑摩書房
出版年 2015年
出版社ページ 筑摩書房『法哲学講義』詳細ページ
目次 序論 法哲学とは何か?なぜ学ぶのか?
第1章 法概念論は何を問題にしているのか
第2章 法実証主義とは何か
第3章 ケルゼンの「純粋法学」
第4章 H.L.A.ハート―開かれた問題群
第5章 ドゥオーキンの解釈的法理論
第6章 正義論
第7章 メタ倫理学
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価格 1,836円

上記リバタリアン入門は、法哲学や正義論をまったく勉強したことがない方でも、リバタリアニズムについて理解できる良書です。
本書『法哲学講義』は、講義用・一般読者用に書かれました。

法哲学のテキストは、ある程度学習の進んだ方用とか、入門の入門のようなテキストはあっても、丁度いい物がなかった。
本書がその丁度いいテキスト・概説書にあたると思います。

法哲学は、大きく分類すると「正義論」と「法概念論」にわけることが出来ます。
本書は、「法概念論」の概説書です。
「正義論」については、軽く触れられているのみですが、正義論の全体を概観するには充分です。

法概念論のテーマである

「法実証主義」「自然法論」
「ケルゼンの純粋法学」
「H・L・Aハート」
「ドゥオーキン」

に重点を置いています。

特に、第7章の「メタ倫理学」は貴重です。
メタ倫理学について解説した書物はかなり少なく、28ページしかないこの章の価値は高いです。

法哲学って興味があるけど、いったい何なんだろう?と思われている方は、
序論「法哲学とは何か?なぜ学ぶのか?」だけでも読まれることをオススメします。
図書館等でも1時間くらいで読めると思います。

各章末には、「文献解題」として、参考文献が掲載されています。
単なる文献リストではなく、同じ書物でも版による違いや、どの版を読めばいいのか。
どの文献から手を付ければいいのかなども書かれています。
各文献の概説も書かれているので、いわゆる芋づる式の学習をするための手引きとして最適です。

ひととおり法哲学入門を勉強した方が、次に法哲学のどの分野を掘り下げるのかを考える手引きに。
卒論テーマの絞り込み等にも使えると思います。

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